1989年。「昭和」が終わった年。1月7日に昭和天皇が崩御されたのを皮切りに、美空ひばり、色川武大(阿佐田哲也)、隆慶一郎、松下幸之助、海外ではサルバドール・ダリ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ルーホラー・ホメイニといった大物が世を去りました。そして、漫画界においては、“漫画の神様”手塚治虫先生、『のらくろ』で知られる田河水泡氏がお亡くなりになりなっています。文字通り一つの時代が終わった年でした。社会的には、いまだに忘れ得ぬ陰惨な事件も多発。振り返れば、暗い一年だったんですね…。
さて、この時期のスペリオール。ラインナップを見ると、今よりも“大人向け感”を感じます。…特集記事企画が
『あ〜あ惨業』。「ゆとり社会」とか叫ばれ始めたのはこの時期だったんですね〜。
叶精作氏作画(原作は神田圭介氏)の
『THE・Jr.』もシブい! …超大手ゼネコンの三男として生まれた主人公・五代和也と、2人の兄、そして父との確執を描く重厚なドラマです。
あと、表紙からドーンって感じで超目立つのが、新連載の
『勇魚(いさな)』という作品。原作はC.W.ニコル(脚本・前田和男氏/作画・あきやま耕輝氏)さんですよ! 舞台は幕末の紀伊・太地。鯨を愛し、鯨と闘う男たちの生き様を描く壮大な物語。…なのですが、この年の秋に第一部完となっており、その後、続編は始まらなかったようです。絵も思いっきり力が入ってますし、文藝春秋社刊行の原作本も400ページ超の文庫で上下巻という分量…漫画化するのはかなり難しかったんでしょうね〜。本作の単行本(全2巻)を編集部で探してみましたが、発見出来ませんでした。持ってる方、かなりな希少本ですよ! 大事にしてください!!
石坂啓氏と堀田あきお氏の合作、
『キャリング』という作品も連載されてました。…恋人との同居を目指して、運送会社で働く22歳のフリーターの主人公・間タマノリの目線で、引っ越しにまつわる人間模様を描くハートウォームなストーリー。合作の連載漫画って、結構レアですよね。
巻末には業田良家氏の政治風刺ギャグ、
『シアターアッパレ』が! この作品、タイトルが印象に残ってます。作中に当時の政治家が登場してるんですが、今となっては筆者の記憶から消え去っている人がいっぱいで…。当時の自分が、いかに政治とかに無頓着なアホだったかが伺い知れます…あ、今も同じようなもんか。